私は現在、ボイストレーナーとして活動しています。気が付けばいつの間にかボイストレーナーとしての道を進んでいて、早いもので20年ほどが経ちました。いつまでも新人のような気持ちでいますが、時間は過ぎゆくものでキャリアはもう中堅くらいにはなって来たのかもしれません。

私は初めからボイストレーナーになろうと思っていたわけではなく、歌や音楽で世の中に出てゆきたいと考えていました。恐らく今ボイストレーナーをされている方の殆どが同じように考えていらしたと思います(最近は初めからボイストレーナーを目指している方も増えてきているのかなと思います)。

私は世の中に目立った業績を残しているわけではありませんが、どのような過程を通じて今に至ったのかを記すことで、ボイストレーナーを志す方や音楽に携わってゆきたいと思っている方にとって何か感じてもらえるものもあるかもしれないと思い、記事としてアップすることにしました。

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音楽との出会い

ボクは幼い頃は特に夢など持たない子供でした。小学生の頃、アイドルになりたいって話すクラスの女の子に「あれはきらびやかに見えて移動の車の中でしか寝れへんようなきつい仕事やねんで」と、どこかのテレビで見たことを知ったかぶりで諭すような特に夢のない子供でした。

音楽は好きでした。初めて買った(買ってもらった)レコード(CDではありません)は、2枚組のドラえもんのLPでした。

小学校3年生くらいの頃に、姉・兄の真似をしてピアノを習いましたが、練習がイヤすぎて一年も続きませんでした(黃バイエルが卒業出来ませんでした)。

自分は、努力のできない駄目な人間だと小学生のボクは思いました。

でも、この時ピアノを習ったことで相対音感が身につきました。それは今の「私」に不可欠のものとなっています。

人生、いつどこで何がどう繋がってゆくのか分からないものですね。無駄な出来事は何一つないのだなと思います。

ボクは三人兄弟の末っ子で、兄や姉の影響を受けて育ちました。

兄は中学、高校と吹奏楽部に所属し、クラシックがメインでしたが、日本の歌謡曲から洋楽、アジアンポップスなど幅広く聞いていました。小5の頃家を引っ越して以来、兄と同じ部屋だったボクは、兄チョイスの様々なジャンルの良曲を毎日毎日耳にすることとなります。

姉は芸術全般を愛する人で、兄とは異なる音楽の世界を教えてもらいましたし、それ以外に拡がる様々な芸術のエネルギーに触れることが出来ました。大学生時代にボクが音楽ではなく一旦演劇の道を進むことになったのは姉の影響がかなり大きいと思います。姉が何を美しいと感じるのかを知ろうとすることで、「世の中には本当にいろんな考え方の人がいること」「全ての生き方に間違いはなく突き詰めれば美しいこと」を何とか自分の中で受け止めようとしていました。

人生や歴史に「もしも」はありませんが、もしボクが長男だったり一人っ子だったりしたら、決して音楽の道に進むことは無かったと思います。

そして、ボクが音楽と決定的な出会いを果たすのは中学3年生の時です。

中学の最後の音楽の授業で、「各自何か演奏、歌唱何でも好きなことをすること」という課題が出ました。

音楽が大好きなボクは「何をしよう?何かクラスのみんながあっと言うようなすごいことしたい!」…と兄のテープライブラリをこっそり聞き漁りました。

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Journey 『Escape』

このアルバムに出会って雷に打たれたような衝撃を受けました。1曲目の『Don’t Stop Believin’』から、イントロのピアノの音とか、Steve Perryの突き抜ける声、Neal Schonのギター、すべてがこれまでに一度も聞いたことない感じで、恋人と初めて抱き合ったような生々しくて強烈なリアリティーとインパクトを感じました。

ひょっとすると兄がこれまでも部屋でかけていて既に聞いたことがあったのかもしれません。でも、兄に無断で勝手に聞く後ろめたさでこっそりとイヤホンを付けて聞いたことで、音が直接脳に来るような感じがあったのかもしれません。

それから、兄のテープライブラリをあれこれと聞いて、洋楽の世界にハマっていきました。

(とか言いながら、中学の音楽の授業で披露したのは、竹内まりあさんの『すてきなヒットソング』という曲でした(^_^;))

振り返るとこの時代のボクが一番音楽を純粋に楽しんでいた時期かもしれないなと思います。

 Don’t stop believin’    Journey (LIVE)

 

ボイストレーナーへの道のり ②  へ続く