ボイトレ【オンラインレッスン】のメリット・デメリット
みなさん、こんにちは!
Voice Lab.の植村典生です。
新型コロナウィルスが猛威を振るっていますが、2月、3月に想像してたよりも、ずっと大変なことだと分かってきました。
この騒動の起こる前の状態に戻るのは1年以上先になるかもしれない、という話をちらほら耳にします。
そうなると、通常の対面レッスンの代わりに仕方なくオンラインでやるというのではなく、オンラインレッスンが基本のレッスンスタイルとなってきます。
ボイスラボが通常のレッスンを全てオンラインに変更して1ヶ月ほど経ちました。
そこで、これまでやって来て感じた【ボイストレーニングをオンラインで受けるメリットとデメリット】を以下に紹介してみたいと思います!
【オンラインレッスンのメリット】
① 時間・場所などの制約が少ない
当然ながらこれが一番のメリットになります。
通信環境があるなら、世界中どこからでもレッスンを受けることができます。
テレワークだったり、オンライン授業だったり、この大変な時期、特に注目されているレッスンスタイルでもあります。
「直接対面せず、交通機関などで移動せず、自宅でレッスンができる」というのは、今一番重要なことだと思います。
「安心」は、この時期にとても大切なキーワードではないでしょうか。
② リアルタイムで自分を視覚的に確認できる(そしてそのまま録画もできる)
レッスン中に、先生の映像はもちろんですが、自分の姿も同時に見ることができます。
通常のレッスンだと、スマホなどで自撮りのセッティングをするなどしない限り、レッスン中に自分の声を出す姿を確認することは出来ません。
オンラインレッスンだと、自分の姿が確認できるので、大きな声を出すときや高い声を出すときに、変な力が入っていないかとか、意識しながら発声することができます。
通常のレッスンでも意識はできますが、視覚で確認できることでより意識しやすくなります。
例えば先生に「あごを上げないで」とか言われても、なかなか難しく、逆に変な力が入ってしまったりするものです。
ですが、オンラインレッスンで、自分の発声しているのを目視しながらやると、
「あ、こんな感じで力入ってるんだ。じゃあ、ここに力入らないようにして……」
とリアルタイムで修正ができます。
これは大きな違いです。
またその様子をボタン一つで録画することもできますので、気になる所を後で目と耳で確認することができます。
あと、全くの余談になりますが、レッスンしている自分の姿を見ていて、めっちゃ嬉しそうにレッスンしている自分に気付きました。
「こんなに楽しそうにレッスンしてるんだ、僕は。本当にレッスン好きなんだなぁ。」
って思いました。
③ 声の大きさなどの同調強制が起こらない
これが最近のオンラインレッスンで思う一番のことなんですが、声の調子がいい方が多いです。
これまで難しかった課題が急にできるようになったりされる方が結構います。
以前、レッスンをしていると、たまに
「家ではもっと出来たんですけど……」
と言われる生徒さんがいらっしゃいます。
レッスンだと、私のピアノに合わせて発声するわけですが、無意識のうちに私のピアノや見本の声の大きさや音色に合わせて声を出そうとされます。
私もなるべくその生徒さんの声に合わせて伴奏や見本の声を出しているのですが、いろんな意味でその生徒さんのジャストの大きさやテンポ、声質などにすることは難しいです。
同じ空間を共有していると、どうしてもある程度同じ大きさや声質に寄せようと無意識にしてしまいます。
それが生徒さんのベストな状態を邪魔することがあるのです。
もちろん、講師の見本の声や歌を生で感じることこそがレッスンを進めてゆくのですが、それが邪魔になることも時としてあるということなのです。
地声と裏声のバランスを取るような時は、強い呼気(吐く息)が微妙なコントロールを邪魔することが多いのですが、オンラインレッスンをしてからその辺りが少しやりやすくなる人が多いと感じています。
これは嬉しい驚きでした!
【オンラインレッスンのデメリット】
① お互いの通信環境によって音や映像のクオリティーが下がることがある
・スマホの4G回線か光回線か
・Wi-Fiか有線か
・スマホかパソコンか
といったそれぞれの環境によって通話のクオリティは大きく変化します。
それだけでなくいつするのかによっても音の良い悪いが大きく変わります(金曜日の夜は音や映像の乱れが起こりやすかったりします)。
音や映像がすごくきれいな時もあれば、少し音が途切れたりする時もあります。
でも今のところ「レッスンが出来ない……」というレベルで通話品質の低い状態は起こっていません。
ある生徒さんと、FaceTimeでオンラインレッスンをした時に、驚くほど映像も音も良くてびっくりしました。
たまたまなのかも知れませんが、また他の方とも試してみて、「どうやら良いみたいだ」ということなら、また報告させてもらいたいと思います。
ただ、FaceTimeだと、MacやiPhone、iPadなど同士でしか通話出来ないので、すべての人にFaceTimeでレッスンすることは出来ず、どちらにせよzoomなどを使う必要があります。
② ピアノの伴奏で歌うことがとても難しい(全くの不可能ではない)
オンラインレッスンでは通信上のタイムラグが起こるため、ハモったり、リアルタイムのセッションをしたり、ということは非常に困難です。
ですが、全くできないわけではありません。
ピアノ(私)が、歌い手(生徒さん)の声をあまり聞かずに、テンポをキープしてビアノを弾くことで、生徒さんがストレス無く歌うことが出来ます。
ただ、生徒さんの声に意識を向けていると、ピアノがズレてしまいそうになるので、ビアノのテンポキープに意識の8割を割かなくてはいけません。
そうなるとカラオケで歌うのとあまり変わりなくなり、ピアノで伴奏をする意味は非常に少なくなります。
ただ、生徒さんがある曲を歌えるかどうかや、キーを上げるか下げるか、などをチェックする時には使えると思います。
また、「とりあえず思いっきり歌いたい!!」という場合にもいいかなと思います。
発声練習で、同じフレーズを機械的に弾けばいい時は、生徒さんの声に意識を向ける割合が多くでき、ズレたままで何とか頭をフル回転させてピアノでレッスンしています^^;
発声ではなく「歌」を本当の意味で深くレッスンするのは、オンラインレッスンでは難しいかもしれないと思っています。
③ 生徒さんの側でも声を出せる環境を見つけないといけない
これがオンラインレッスンができるかどうかの一番の関門になると思います。
コロナ禍によって外出せずに自宅で出来るテレワークやオンラインレッスンなどが注目されているわけですが、ボイストレーニングや歌のレッスンの場合、自宅で大きな声を出せる環境が必要になります。
と言いながら、実は、ハミングなど小さな声を中心にレッスンすることもできます。
なので、ボイトレの効果を純粋に求める方には、この時期を小さい声中心に乗り切ることもできます(どの位この緊急事態が続くのかにも依りますが…)。
ですが、あまり外に出られないでいるこの時期に、できれば大きな声を出したり、思いっきり歌を歌ったりして、少しでもストレスを発散の助けにもなれたらと思っています。
大きな声をいっぱい出すと、気持ちがリフレッシュして、ストレスが緩和します。
屋内での娯楽が難しい分、公園などが混雑してきたりする中、家の中で大きな声を出す、というのは、この大変な時期を乗り切るのに、とても重要な選択肢になると思っています。
【まとめ】
もし、お家で声の出せる環境があるなら、オンラインレッスンでボイストレーニングを受けることは、とてもオススメです。
「声の出せる環境」と言っても、特別な防音設備などではなく、家族に気兼ねしないとか、ご近所の方に迷惑がかからないといったレベルのことです。
レッスンのクオリティーも対面のレッスンとほぼ変わらず受講することができます。
歌の深い内容に取り組んだり、アンサンブルの練習など、難しいものもありますが、逆にオンラインレッスンでしか出来ないものもあり、通常のボイトレとしては全く問題ないと言っていいでしょう。
ボイトレしたいし、歌も歌いたい!……という人が、自宅だとなかなかそういう時間や場所作りが難しいという場合、どうしたらいいだろうと、今、頭をひねっています。
長期化するかもしれないコロナ禍の中、ボイトレや歌を通じて、少しでもストレスを溜めずに、楽しく乗り切れるようになればと願っています。
オンラインレッスン、ほんと、楽しいですよ!
また、しばらく会えていない生徒さんと、画面を通じてレッスンが出来ると、ふと日常を取り戻したような感覚があって、心が柔らかくなります。
なかなか人と会ったりすることが困難になってきた中、オンラインを通じて出来ることを少しずつ増やしてゆきたいと思っています。
それが、僕のような職業の者の使命だと思っています。