How to SING ~心に響く歌~ ④ 『一つ一つ出す』Vol. 2

 

 

『一つ一つ出す』Vol.1からの続きです^^

 

 

 

植村
さあ、では、行きますね。

 

植村
ピアノでメロディーのガイドを出しますが、決して僕に合わせようとしないで下さい。焦ったりビビったりしないで、自分の間合いでナルシスティックに自分の声を楽しむくらいの気持ちでたっぷり歌ってくださいね。

 

歌好きのAさん
はい。

 

植村
では行きます!

 

 

ピアノの音
~♪レ♪~
歌好きのAさん
どぉ~~~

 

 

ピアノの音
~♪ド♪~
歌好きのAさん
おぉ~~~

 

 

ピアノの音
~♪シb♪~
歌好きのAさん
しぃ~~~

 

 

ピアノの音
~♪ド♪~
歌好きのAさん
てぇ~~

 

 

 

……………その後、「き~」「み~」「が~」「な~」「く~」「の~」と続きました。

 

 

 

植村
どうですか?これだとメロディーの高さには迷わなくて済みますね。

 

歌好きのAさん
はい。

 

植村
でも、なかなか思うように声が出しにくくないですか?

 

植村
「どんな声を出せばいいんだろう」とか、「きれいに声を伸ばすのが難しいなぁ」とか……。

 

歌好きのAさん
そうなんすよ。なかなか先生みたいにするのは難しいです(^.^; …。

 

歌好きのAさん
「この声いつまで伸ばせばいいのかなぁ」とか、「どれくらいのボリュームを出せばいいのか」とか、「先生みたいに声をきれいにフェイドアウト出来ない」とか、声を出しながら頭の中ではあれやこれや考えまくりでパニクってしまいます。

 

 

植村
そうなっちゃいますよね。

 

歌好きのAさん
はい、なっちゃいます(^^ゞ

 

 

植村
なんでだと思います?

 

 

歌好きのAさん
ん~。

 

歌好きのAさん
・・・・・・分からないです。

 

 

植村
実は、自分の声をちゃんと知らないからなんです。

 

歌好きのAさん
自分の声をですか(・・;?

 

 

植村
そうです。自分の声にどんな魅力のあるのか、どんな使い方が得意か、どんな影響を及ぼしやすいか、そういったことが分からないまま、ただ一生懸命に歌っているんです。

 

歌好きのAさん
はあ…。……っていうか、僕の声にも魅力とか影響を及ぼすとかってあるんですか?

 

 

植村
そりゃありますよ!

 

 

植村
もしなかったら、そもそもレッスンに来る意味ないですか?

 

歌好きのAさん
確かに^^;

 

 

植村
ギタリストがギターの魅力や使い方を知らずに、「これって本当にいい音鳴んの?断然ピアノの方がかっこいいんだけど」って思ってたとしたら、いいギターは弾けなさそうじゃないですか?

 

歌好きのAさん
それはそうっすね。

 

 

植村
それとまったく同じことですよ(^_^)

 

 

植村
ギタリストがギターの魅力を知ってるのと同じで、Aさんは、Aさんの声の魅力を自分でちゃんと知ってる必要があるんです。

 

歌好きのAさん
なるほどです!

 

 

植村
それがみんなあやふやなままで歌うから、「どこかで聞いたような」「誰かのような」声や歌い方を無意識にばくぜんとなぞってるだけなんです。

 

 

植村
ギタリストは、音を出す前に頭の中で出したい音のイメージを鮮明に描きます。もちろんピアニストもドラマーも同じです。

 

 

植村
どれくらいのボリュームの、どんな音色の、どんな高さの、どんな動きを持った音なのか、が、頭の中でどんどんとイメージされてゆきます。そして、「その音を弾きたい!」と強く感じます。それが連鎖して心を動かすメロディーとなるわけです。

 

 

歌好きのAさん
はい。

 

 

植村
現実的に考えて、歌詞のイメージや曲の情感などをそのまま表現しようとしても、それをギターならギターの音、ピアノならピアノの音で具体的にイメージできないと演奏のしようがないですよね?

 

歌好きのAさん
確かに。

 

 

植村
歌もそれを「声」という音のイメージに変換しないと、ただエネルギーを浪費するだけの騒音となってしまいます。

 

歌好きのAさん
あ、すみません、だんだんちょっと難しくなってきました………(゜-゜)

 

 

植村
あ、すみません。こちらこそすみません……。

 

歌好きのAさん
いえ、話はとても面白くて興味ありありなんすけど、こういう話は聞きなれてなくて。

 

 

植村
そうですよね。レッスンで歌の話となると、普通は、発声のことか、ビブラートや強弱のような技術の話になりますもんね。

 

歌好きのAさん
そうなんす。前に習ってたとこでもこんな話はなかったんで・・・。

 

 

植村
そうでしょうね。

 

植村
じゃあ、レッスンの話に戻って・・・、

 

植村
さっきナルシスティックに歌って下さい、って言ったけど、やってみてかなり難しくなかったですか?

 

歌好きのAさん
めちゃムズかったっす(-_-;)

 

 

植村
ナルシスティックという言葉に抵抗があるかもしれないですけど、簡単に言えば、好きなように声を出してくださいってことなんです。

 

 

歌好きのAさん
なるほどです。

 

 

植村
でもそれがなかなか難しいんですよね。

 

 

歌好きのAさん
ほんとに!

 

 

植村
つまり、自分の好きなように歌うのが難しいってことですよね。

 

植村
それには、もちろん発声的な問題も沢山あるけど、「自分の声で好きなように歌う」ってことが実はよく分かってないんです。

 

歌好きのAさん
また戻ってきましたね。この『自分のことを知らない』というフレーズに。

 

 

植村
そうですね。

 

 

植村
一言で言ってしまえば、『自分のことをよく知る』人が何かを成せるんだと思います。

 

 

植村
歌で人を感動させるにしろ、お金持ちになるにしろ・・・。

 

 

歌好きのAさん
なんかビジネス本に出てくる自己啓発的なフレーズですね。

 

 

植村
そうですね。同じようなものだと思います。

 

植村
ボイトレも、ビジネスも、ノウハウ本みたいのが世の中には一杯ありますが、それを読んだ人のほとんどが、歌は上手くならず、ビジネスでも成功していないと思います。

 

植村
「書かれている内容がてんで的外れ」という場合も多々もあると思いますが・・・・・・^^;

 

 

植村
本に書いてあることの枝葉に囚われて、表面的な考え方や行為を変えたところで、大して何にも変わらないということなんだと思うんです。

 

 

植村
ものごとの本質を見ようとするかどうかの違いなんだと思います。

 

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む!

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む!む!

 

 

 

 

 

・・・・・むむ、

これはどこに向かっているんだ!?

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というわけで、Vol.3に続きます。

 

 

 

 

歌好きのAさん
先生、大丈夫でしょうか?

 

 

植村
なんくるないさぁ。