歌で人を感動させる方法

 

① 自分の心を感動させること

さて、早速ですが、歌で人を感動させるにはどうしたらいいと思いますか?

「ミックスボイス」ですか?

「抑揚」ですか?

「ビブラートやしゃくりなどの歌唱技術」ですか?

それらの卓越した技術の美しさに心奪われることもありますが、もちろんそれは答えではありません。

それが答えなら、まもなくAIが世界一の歌手となるでしょう。

それはプログラムで人間が実現不可能なことまでいくらでも再現できるからです。

じゃあ、なんなの?、、、となる訳ですが、答えはこれです。

他の動画でちょくちょく言ってることですが、

 

「自分の心を感動させること」

、、、なんだ、それ、って思われるかもしれないですが、これが一番大切なことです。これ無しに人が勝手に感動することはありません。

 

たまたま歌詞がその人の境遇と重なったとか、その人の思い出の曲だったとかなら話は別ですが、それも歌の力で感動させてるのではなくて、その楽曲の力や思い出の力で感動を起こしていると言えます。

 

歌に限らず、踊ったり、絵を描いたり、料理を作ったりしている人の心が感動しているから、それを聞く人、見る人、食べる人の心を動かすのです。

 

② 自分の心を動かすって難しい

「よし分かった。じゃあ、自分の心を動かして歌えばいいんだな!」

 

と、思いっきり心を動かして歌おうとしても、なんかどうしていいのか分からなくて空回りしてるような気がして、友達に聞いてもらっても「、、、いい、んじゃない?」と微妙な反応しか返ってこないって風になる人が多いと思います。

無駄に暑苦しい歌になってしまったり、思い切り気持ちを込めて歌ったつもりが、録音して聞いてみたら、普段と大して変わらない歌だったりします。

自分の心を動かすって何?ってなります。

 

心が動かされることはちょくちょくありますよね。

すごく感動的な映画を見たり、

めっちゃ美味しいものを食べたり、

友達や恋人と楽しい時間を過ごしたり、

怪我や病気ををしたり。

でも、自分から感動を起こすということは難しいことが多いです。

自分で意図して気持ちを昂らせるというのはなかなか出来ないんです。

例えば日常で、泣いたり笑ったりすることは誰でもあると思いますが、役者のように「はい、泣いて!」と言われていきなり自然に涙を流せる人は少ないでしょう。

プロだったり、それに向けてトレーニングした人だったり、そういった感覚に心を開くのが得意な性分な人以外はなかなか難しい訳です。

 

③ 好きなことに集中する感覚

「じゃあ、どうすれば自分の心を動かせるの?」

それは、自分が好きなことに集中している時の感覚にヒントがあります。

楽しみにしていたゲームを夢中でやってたら、気が付くと真夜中、なんてことが経験あるのではないでしょうか?

 

好きでもない映画を人から勧められて、付き合いで見てみたらやっぱり面白くなくて、見るのがしんどくなってくることありますよね。

次に会った時に「どうだった?」と聞かれるときのために一応最後まで見なくちゃいけないし、いい返事してあげたいから出来るだけ楽しんで見ようと思うのですが、どうしても映画の世界に入っていけないということはよくあります。

「自分の心を動かす」というのも、無理に大きく激しく動かすということではなく、何かにフォーカスする、集中するということなのです。

スポーツの世界などでは、こういった特別な意識状態のことを「ゾーン」とか「フロー」とか呼んだりします。

つまり、「自分の心を動かす」とは、「特殊な非日常の精神状態になること」だと言えます。

絵を描く人なら、色や形に

ダンスをする人は、姿勢や動き、表情に

そして、歌を歌う人は、声に

意識を集中させて表現をしてゆくのです。

 

④ 声の中の「息」にフォーカスする

歌が感動的になるためには、まず自分の気持ちとリンクして声を出せるようになることが大切です。

「それが出来たら苦労せぇーへんねん!」ということなのですが、今の時点で歌で自分や人の心を動かすって何?という人は、こうしたら感動的になるみたいな魔法のテクなんてないので、自分で探していかなくてはいけません。

 

ではピアニストはどうしているでしょうか?

自分の気持ちを動かして、それを音に伝えます。

 

①自分の気持ちを動かして、

②それを指の動きに変換して、

③それが感動的な音になる。

 

という風になっています。

 

では歌ではどうかというと、このピアノにおける②が「指」ではなく「息」になります。つまり、

 

①自分の気持ちを動かして、

②それを「息」の動きに変換して、

③それが感動的な「声」になる。

 

となるわけです。

 

ピアニストが指の動きに集中して感動的な演奏をするのと全く同じで、

ボーカリストは、「息」の動きに集中することで、感動的な歌をうたっているのです!

 

⑤ 息を混ぜた声を出す練習①&②

~動画をご覧下さい!~

動画内で紹介している息を混ぜた声に関する詳しい動画

 

 

⑥ まとめ「感動とは心を動きを感じること」

「感動」とは、読んで字のごとく、「動」きを「感」じることです。

何の動きかと言えばもちろん心の動きですね。

つまり、感動的な表現というのは、

 

「自分の心の動き」が歌声やダンス、絵の色彩や構図などを通じて、

「相手の心に同じ心の動きを起こす」ことだと言えます。

 

多くの人は、この自分の心の動きを伝えるツールである声の技術や能力を高めることが歌が上手くなることだと思っているのですが、それはツールを高度にしただけで感動とは全く別の話になります。

例えば、最高の歌を歌うためにマイクを100万円くらいするものを買ったり、有名なデザイナーの服を衣装として買ったりしても、歌が感動的になることはないですよね。

もちろん、いいマイクの方がいいですし、衣装が魅力的な方が人を魅了しやすいと思いますが、それにばっかりお金や労力をかけて歌を頑張らない人が、人を感動させることはないと簡単に想像が出来ますよね。

 

技術のみに気が向いていてはいけないということです。

もちろん技術はすごく大切です。

でもそれは本質ではなく、ツールであるということを常に頭に入れて練習する必要があります。

 

外国の女の子を好きになって彼女に告白するために英会話学校に通うのは良い選択肢だと思いますが、CNNのアナウンサーばりに話せるようになるまで告白はしないとか、医学用語や政治用語や宇宙物理学の用語も全て知らないと告白しないとなれば、80歳くらいまで告白できないかもしれません。

 

何かをする(スキル)のではなく、自分ではない何かに自分を丸投げしてゆく(非日常の感覚に没入してゆく)ところに感動があります。

 

それが出来ると、自分の世界がドバーっと広がり、自分の人生が豊かになります。

歌が好きになるし、自分の人生の彩りが豊かになります。

 

歌いながらできない自分にどんどん苦しくなったり、逆に誰かよりうまいことで勝ち誇るような歌ではなくて、

自分の世界が拡がることで、自分はもとよりそれを聞いている人まで心地よくなれる、そんな歌があります。

 

抽象的で分かりにくくて難しいように思うかもしれませんが、プロ並みのミックスボイスや難しいスキルを獲得するよりは、はるかにかんたんです。

 

なぜって、プロ並みのミックスボイスは一度も自分で出したことがないのに、ゲームや映画や音楽に夢中になったことは何度でもあるんですから。

 

あとはそれを自分で起こすだけです。

そのきっかけを見つけることだけなのです。

 

必ずできます!