なぜ歌うのか? ① 京都ならではのボイストレーニング

 

_____なぜ歌うのか?

 

そんな小難しいこと、別に考えなくてもいいのかもしれません。

ただ、ボイストレーニングに通ってきてくれる生徒さんたちは、決して安くはないレッスン代を払って、歌うということを、声を出すということを、より良くしたいと思っていらっしゃいます。

私も含めて、「歌」や「声」に何か特別な感情を抱く人はきっと多いのだと思います。

そして、それが思うようにいかないと感じるとき、

「ボクは、何で歌っているのだろう・・・。」

と、自分に問いかけるのです。

決まった答えはあるはずありませんし、正しかろうが、間違っていようが、自分の中で納得できる答えが見つけられれば、その人にとって「歌との素敵な関係」を築くことができるのかなと思っています。

このコーナーでは、私自身や、生徒さん、身の回りのいろんなものごとから、時には浅く、時には深く、「なぜ歌うのか」について考えてみたいと思っています。

そして、それを読んだ人が、何か上手くいかないことがあってふと立ち止まった時に、次の一歩を踏み出すささやかな「きっかけ」のようなものになってくれたらなあと願っています。

 

① 京都ならではのボイストレーニング

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55maiko.netさんより転用   Trial Digital Eyeさんより転用

ボイスラボは、京都という土地柄もあっていろんな生徒さんがいらっしゃいます。

もちろん他のスクールさんと同じで、大半の方は普通に歌が上手くなりたいとか、声がしっかりと出せるようになりたいという方たちです。

「京都ならではなのかなぁ」と思うのが、お坊さんやお坊さんの修行をされている方(特に女性)が多く来られていたり、民謡や詩吟の師範の方や長唄などをされる方がよくいらっしゃることです。

もちろん、全国どこにでもお寺や神社はありますし、民謡や詩吟、長唄なども京都にだけあるものではありません。

でも、その宗派の総本山が京都にあって、ちょくちょく京都に来ます、といった方がいたり、お茶屋さん(舞妓さんや芸妓さんが呼ばれる料亭)があって、舞妓さんや芸妓さんにあこがれて地方から来られる方などがいらっしゃるので、そういった方が声や歌に困ってトレーニングに来られることが良くあるのです。

お経に決まった音の高さがある(メロディーのようなもの)ことは、昔のボーカル仲間にお坊さんの方がいたので前から知っていました。

 

ですが、女性も同じ音(ないしは1オクターブ上の音)で読経しなくてはならないことは、お坊さんの修行をされている女性の生徒さんから聞いて初めて知りました。

女性の僧侶の方(特に資格を取るために修行をされている段階の方)で、お経で出さなくちゃいけない声が高すぎて(もしくは低すぎて)、すぐに喉が枯れてしまって困っている、という方が、全国にかなりたくさんいらっしゃると思います。

そういう方は、試験や修行の直前にボイトレを受けても仕方ありませんので、少なくても1~2年くらいのスパンでトレーニングを受けられたらいいかなと思います。

また、お経や長唄(端唄)などの音階は、いわゆる西洋的な十二平均律とはかなり異なります。

恥ずかしながら、生徒さんにレッスンをしながら、むしろ私の方が新しい音の世界へ開かれていく感じがあります。

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職業上、出さなくてはいけない声(高さ)があったり、歌わないといけないメロディーや音階があったりします。

それが出来なければ、その職業には就けないのです。

それはもう理由云々とかでなく、ただひたすらやるしかありません。

なので、その方々がレッスンに来られる理由はとても明確です。

そして、もし、彼ら彼女らが「なぜ歌うのか」と問うことがあるなら、その職業に無事就くことが出来て、自分のやっていることの先が見えなくなってきた時だと思うのです。

 

「自分は何がしたいのだろう」

 

歌に限らず、いろんな仕事や人間関係の中で、この問いと出合って、この問いを自分なりに超えてゆくことが「人生」なのかなと思っています。